私はこの本があまり好きではありません。この本を手にするのはまずほとんどが英語またはその他の外国語の聞き取りに問題があって悩んでいる人だと思いますが、著者が与えるのは「できるだけたくさん聞き取りの練習をしなさい」という答えです。私の経験では確かに日本人の場合ヨーロッパ語の聞き取りには1000時間から2000時間くらいの練習が必要です。しかし英語教育学の看板を掲げて飯を食ってきた人がこういう答えをして本当にいいのかと思います。というのは他の多くの非ヨーロッパ人(たとえばエジプト人とかコンゴ人とか)は東アジア人ほど聞き取りに苦労しておらず、われわれが英語の聞き取りに苦労するのは何らかのわれわれ特有の原因に由来すると考えられるからです。その原因が何であれ、英語教育学者にはそれを突き止め、対策を講じ、われわれが英語の学習に浪費(敢えて「浪費」と言います)せざるを得ない無駄な時間を短縮する義務があります。「もっと勉強しなさい」では納得できません。
私が英語が苦手なのは、私の努力が足りないからかもしれません。しかし、「われわれ」が英語が苦手なのはわれわれの努力が足りないせいではありません。英語教育学の先生方は、お願いですからもう少し努力して効率的な英語習得の方法を開発して下さい。
ある有名な英語の先生が書いた本について、一読者のレビューだが、面白かった。ヒアリングの力を伸ばすためには「できるだけたくさん聞き取りの練習をしなさい」は当たり前だと思うが、読者はお手軽な魔法を期待していたのだろう。そのようなものは存在しない。単語、イディオムを出来るだけ多く頭に入れることが何よりも大切、向こうの文化を頭に入れることも大切、まず生の英語を毎日聞く事から始めよう。なぜ聞き取れないのかの答えは自分で見つけたほうが英語教育学の先生の意見を求めるよりも早い。
伊豆諸島の最南端に孀婦岩(そうふがん)というものがある。やもめ岩ともいわれるが、英語では Lot's wife だ。聖書のくだりにロトの妻の塩柱と言うものがあるが、それに似ているらしい。
大海原に立つ孤高の岩 ~孀婦岩~
4:29 I'm just hoping that when Michael Moore looks back at California, as we make our way out that he turns around and he look back and he immediately turns into a pillar of salt. 私たちがカリフォルニア脱出する時にマイケル・ムーア監督がカリフォルニアを振り返り塩柱になる、ことを夢見ています。このようなくだりも文化的なものが理解できていないと聞き取りにくいと思う。ヒアリングは耳だけの問題ではないと理解すべし。
Why I'm Leaving California.
練習問題解答
a-9615 the pillar of salt thing